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おさけのおべんきょう

       仕事で日本酒の知識をつけるために、
       旭川の合同酒精工場の見学に行ってきました。

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      合同酒精は全国で酒を製造・販売するオエノングループの主力会社で
      旭川と松戸に工場を持ち、酒の販売・製造を行っている。
      主力商品として「ビックマン」「鍛高譚(たんたかたん)」などがあります。

      旭川の水でこだわりの日本酒を製造・販売しているオエノングループの
      「大雪の蔵」も見学させて頂きました。

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     ここ合同酒精旭川工場では、北海道消費分の年間200万リットルの
     出荷をしているそうです。
     う~ん・・数字が大きすぎてピンときません。
     全国出荷の松戸工場では、
     なんとこの6倍ものお酒を出荷しているそうです。

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       早速「大雪の蔵」の製造工程を見せていただきます。
       厳選な基準のある鑑評会で毎年金賞を受賞しているそうです。

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       日本酒造りは下記の工程で作られています。
       精米=> 米洗い=> 米蒸し=> 麹造り=>もと造り=>
        仕込み=> 搾り=> 火入れ=> ビン詰め
       
       こちらは精米する前の原料米です。大雪の蔵では、
       「北海道米きらら397」を使用しています。
       更に大吟醸では、日本酒に合った品種の米「彗星」を
       地元旭川近辺で作って使用しています。
       
       地元の米と水で作ったお酒は、愛称がよく美味しくなるのです。

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       こちらは精米された米。
       精米とは外側にある脂肪やタンパク質を削り取り、
       「でんぷんだけの白米」にします。
       磨かれた米は、麹(こうじ)が入りやすくなるのです。
       大吟醸酒などでは65%も磨くことがあります。

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       種麹は、菌の一種で、米などから取れた糖に菌を繁殖させて作ります。
       
       種麹を米に繁殖させてアルコールや糖や良い香りを精製させます。
      
       パンで言うイーストみたいな物ですね。
       イーストは小麦の糖を餌として、糖とアルコールと炭酸ガスを発生させます。
       この炭酸ガスで生地が膨らんで、
       それを高温で焼くと、良い香りと旨みのパンが出来上がるのです。
       って、今は日本酒の話ですよね。
       
       更に豆知識。
       醸造業界では、種麹のことを“もやし”と呼んでいます。
       麹菌が芽を出し白っぽい菌糸が伸びていく姿は、
       まさに食べる「もやし」そのものであり、
       木々が芽吹く姿にも似ていることから、
       その時使われる「萌える」という言葉を語源としてモヤス(シ)
       になったとも言われています。

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       さて日本酒作りに戻ります。
       精米されたお米は、米洗い工程で表面に着いた糠(ぬか)などを洗い落として
       更に麹が最適に繁殖できる環境にするため、米を水につけます。
       ここが職人の感が必要なところ!
       吟醸酒では、水に漬ける時間数秒の違いで味に変化が出てしまうそうです。
       
       米洗いが終わると甑(こしき)と呼ばれる大きな蒸し釜に入れられ、
       一時間ほど蒸されます。      
       そして乾燥機でぱらぱらになるように乾燥させます。
       日本酒作りの世界では、ねっとりご飯はNGなのです。

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       こちらは乾燥後の米。
       ここから麹作りに入ります。
       蒸米を35度ぐらいまで冷やし、そこに種麹を混ぜ、麹菌を繁殖させます。
       
       繁殖をつづける麹菌の発熱によって麹の温度が変化してゆくので、
       差し込んだ温度計で監視しながら少しでも温度が上昇したら換気をし、
       逆に下降したら熱風を送り込む。
 
       この麹造りに要する時間は二昼夜、48時間。
     
       昔から「一麹、二もと、三造り」と言われるように、
       うまい酒づくりの鍵を握っているのが麹で、
       その出来映え次第で酒の質も左右されるのです。

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       このような麹作り作業も、
       今では機械の電子によって管理されています。
       とは言っても、上の話でもわかるように、麹作りはとても大切なもの。 
       微妙な加減をする職人さんは今でも必要で、
       麹作り時には、目が離せないそうです。

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       出来上がった麹と蒸米と水、そして酵母菌を入れて出来たのが
       酒母(しゅぼ)で、酒の元になるところから「もと」とよばれます。

       又、この中には酵母の働きを邪魔する雑菌類から守るため、
       乳酸が入れられます。(画像は酒母)

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       酒母に麹、蒸米、水を加え、もろみを造る。
       もろみ造りは一度に仕込むのではなく、「三段仕込み」といって
       普通3回に分けて行われます。
       最初が「初添(はつぞえ)」、2回目が「仲添(なかぞえ)」、
       3回目が「留添(とめぞえ)」と呼ばれ、量をだんだん増やしてゆく。 
       いっぺんに量を増やすと酵母が発酵不能に落ちいるそうです。

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       このもろみの中では、麹が蒸米のでんぷんをブドウ糖に変え、
       そのブドウ糖を酵母がアルコールに変える「併行複発酵」が行われています。

       留添を終えたもろみは、温度管理をしながら20日間ほど放置されます。

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       大吟醸は、更に低温で倍以上の日数をかけて、
       まろやかな旨み成分を出します。

       この中に落ちたら二酸化炭素だらけなので、
       酸欠で死んでしまうそうですよ。
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       その後、ちょうどよいアルコール分を含んだ状態を見計らって、
       もろみを搾り、酒と粕に分けられます。
       画像は大量にもろみを絞れる機械。2500万円くらいするそうですぜ。
       
       搾った酒は、そのままでは酵母が生きているので、
       気温の上昇してくる春から夏にかけて変質してしまう。
       そこで、約60℃の熱で低温殺菌を行い、酵母の活動を休止させます。
       この作業を火入れと呼びます。
 
       それから数ヶ月置いて、味、香りともに淡麗さ、
       芳醇さを十分に発するようになったら、
       腐敗防止のためにもう一度「火入れ」を行い、
       ようやくビン詰めされて出荷されるのです。

       は~、酒造りって大変ですねぇ~。
       とってもお勉強になりました040.gif

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       他にも見学させて頂いたので、つまんでご紹介します。
       
       こちらは「鍛高譚(たんたかたん)」を貯蔵しているタンク。
       
       ここで素朴な疑問。
       昔から焼酎のタンクには緑のペンキが塗られているのですが、なぜ?
       工場長も知らない七不思議のようです。

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       こちらは、焼酎を熟成させている樽倉庫。
       これぞ昔ながらの酒造りを感じさせてくれますなぁ。

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       瓶詰め充填機です。よく平成教育委員会で見かけますね。

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       出荷倉庫には300種類ものお酒が集荷されています。
       北海道全道に集荷するビックマン。
       この量で、たった2日分だそうです。

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       最後に「大雪の蔵」の販売店を見学させていただきました。
       こちらは、この販売店で一番売れている、
       大雪の蔵 大吟醸酒「鳳雪」。
       
       自然な甘みと芳醇な香りで北海道の日本酒らしからぬ、繊細なお味です。

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      合同酒精・大雪の蔵のみなさん、大変お世話になりました。
      これからも、美味しいお酒を造ってくださいね040.gif





     
       
       
by 6gen-no-oto | 2010-10-31 13:55
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